
これから開塾しようと思っている人が、最初にあたる壁が指導方法です。
とくに学生時代塾でアルバイトをしていた経験がある人ほど、開塾の際に指導方法の問題で悩む可能性が高いと言えるでしょう。
そこで今回は、塾の経営者様向けに、管理面から考える個別指導のやり方・方法についてご紹介します。
もくじ
塾での個別指導のコツ①まず信頼関係を作る
塾での個別指導では、信頼関係を築くことが非常に重要です。
だれもがごく当たり前だとお考えだとは思いますが、信頼関係がどれほど重要かについて、真剣に考える人は意外に少ないもの。
まずは個別指導塾を開塾する際に、なぜ生徒や保護者との信頼関係が必要になるのかを考えてみます。
信頼関係がないと続かない
個別指導塾の場合は、集団塾に比べてより強固な信頼関係が求められます。
これは集団塾に比べて、個別指導が生徒と接する時間が長い点に関係していると言えるでしょう。
また個別指導塾の場合は、勉強をメインに考えている生徒のみではなく、学校での生活がうまくいかずに塾にしか居場所がないという生徒も多いです。
このような生徒の場合は、信頼関係を築くことで長い間塾に在籍してくれる可能性が高く、その分だけ信頼関係がより大切ということ。
また個別指導塾の場合は生徒のみではなく、保護者との信頼関係も重要でしょう。
とくに小学校低学年の場合は、塾でどのような勉強をしたのか忘れてしまう子や、保護者に対してうまく説明できない子も多いが実情です。
そのため、保護者が塾に直接何の勉強をしたのかを塾側に問い合わせることもあります。
こうした何気ないコミュニケーションから「誠実な対応をしてくれているか」「子供のことをしっかりと見て指導を行ってくれているのか」を判断する保護者も多いです。
気を遣うことも多く大変ではありますが、その反面、保護者との信頼関係を築ければ大きなリターンもあります。
たとえば兄弟で塾に通わせるケースが増えるだけでなく、大学受験までその塾の生徒になるなど、長期的な関係を築ける可能性が高くなるのです。
決して否定をせず話を聞いてあげよう
生徒と信頼関係を築く際には、否定しないで話を聞くと言うことも非常に重要です。
とくに小学生の場合は、否定されることで自信をなくし、塾に通うのが嫌になってしまう子が多い点は理解しておきましょう。
そしてじつは多くの講師が「知らないうちにしている否定」もあります。
それが丸つけ。丸つけの際に×を付けられることが嫌いな生徒は意外に多いです。
そこで有効なのが赤と青の2種類のペン。最初の丸つけは赤のペンで行い、間違っていたところは×を付けないで生徒にもう一回解説をしながら解かせます。
その後、解説を聞いた後に、答えを再び書いてもらい青で丸つけを行いましょう。
このようにすることで、×をつけることなく丸だけで生徒の正答率を測れます。
>>塾に寄せられるクレームの原因と対応方法とは?クレームから学ぶ
塾での個別指導のコツ②生徒に合わせつつペースを保つ
個別指導塾では、生徒のペースに合わせて授業を行うことも重要です。
そもそも個別指導塾に通う生徒の多くは、意外にも集団塾についていけない子や、集団塾では授業スピードが遅いと考えている生徒も少なくありません。
そのため生徒に合わせないで一定のペースで授業を行うなら、個別指導塾に来る意義を感じない生徒や保護者は多いのです。
個別指導塾に何を求められているのかを明確に理解しましょう。
生徒によって苦手や分からない場所は千差万別
二人として同じ生徒はいません。基本ではありますが、生徒ごとにわからない場所は違い、学習のスピードも異なります。
そのため生徒の苦手な部分は、ゆっくり教えるなどの努力が必要です。
また個別指導のメリットを生かして苦手な部分は、ほかの教材を使ってさらに問題を解くなど、学習計画の決まっている集団塾ではできない付加価値が必要でしょう。
生徒個人を尊重しながらペースも守る
個別指導塾では、基本的には生徒のペースで授業を進めていくことが重要です。
とはいえ、もちろん大まかな授業計画の作成も必須。大まかな授業計画では、どの時期に何を行うのかを明確にすることが求められます。
とくに、受験学年の場合は計画が重要になるので、生徒の学習ペースも考慮しながら大まかな授業計画に沿った授業が求められるでしょう。
塾での個別指導のコツ③スキルだけに依存しない仕組みを作る
個別指導塾の場合は、指導方法やコミュニケーションスキルがとても重要です。
じつはここが、学生時代塾でアルバイトをしていた塾起業者が、最初に直面する問題なのはご存知でしょうか。
学生時代に、塾講師のアルバイトを経験している経営者は、指導に対してはある程度のスキルを持っています。
しかしそのスキルを形式化し、だれでも使えるノウハウ化する「ナレッジマネジメント」は、とても難しいものです。
また、講師ごとに持っているスキルや知識なども異なるので、これらも考慮した仕組み作りを行う必要でしょう。
属人的な指導には限界がある
個別指導塾の場合は、個別指導というシステムなので、講師によって授業の教え方や上手さが異なることが多いです。
その結果、一部の優秀な講師のみを頼りに塾の経営をしなければならない状況も生まれます。
教え方が人によって異なってしまうことは、個別指導塾のシステムでは仕方のないことです。
しかし属人的な指導には限界があるのは間違いありません。実際に、一部の優秀な講師のみに頼った結果、その講師がやめたことで塾全体の評判が下がってしまったという事例もあります。
このように、属人的な指導方針は経営の面では大きなリスクを伴うものです。
だれでも一定の成果を上げられる個人指導の仕組み化を
個別指導塾では、属人的な指導方法を取り続けると、リスクの高い経営を行わざるを得なくなります。
そのため、個別指導塾を上手に経営するためには、だれでも一定の成果をあげることができる指導の仕組みが必要です。
だれでも一定の成果を上げることができる仕組みができれば、講師が辞めただけで塾の評判が下がるというリスクを避けられます。
また、一定の成果を上げられる仕組みを構築できれば、新たに講師を雇った際の教育時間も減らせ、効率的な育成も可能でしょう。
新人の講師を教育する期間は、短ければ短いほど経営コストの面で優れていることは言うまでもありません。
当然、未熟なうちに現場に放り出してしまうと、トラブルや信頼関係の崩壊などのリスクもあります。
そのため、経営コストの面、および講義の品質を維持するためにも、新人の講師が成果を出せる仕組みは必要でしょう。
だれでも一定の成果を上げることができる仕組みを作る際に重要なこと
だれでも一定の成果を上げられる仕組みを構築できれば、経営のリスクを大幅に減らせます。
しかし実際は大手の個別指導塾でもない限り、指導方法の細かいマニュアルや指導方法に従った指導を行なっているのかを逐一確認しながら、研修を行うことは難しいですよね。
そこでだれでも一定の成果を上げられる仕組みに必要なのは一般化です。
一般化はモデリングとも言います。優秀な講師には、知らないうちに行なっている動作や指導方法がありますよね。
彼らの動作などを観察して、行動や言葉を模して繰り返すことで、優秀な講師の指導方法や行動を限りなく言語化して共有できるのです。
塾での個別指導のコツまとめ
塾で個別指導をおこなう際には多くのコツがあります。
・集団塾にはできない生徒のペースでの授業を行う
・生徒・保護者と信頼関係を築く
・だれでも成果の出すことができる一般化された指導方法は不可欠
上記の3つのポイントを抑えるだけで塾の経営をしたことがない人でも収益を出すことができる個別指導塾を経営することが可能です。
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