人間力を高めるために学習塾で貢献できることは?現場で育てる人間力

コラム

過去には、個別のスキルや能力の開発 がもてはやされていたことがあります。

その人の持つ特性や人間性よりも、持っているスキルや能力が重視されていたのです。

しかし近年では、こうしたスキルや能力に偏重した評価よりも、その人が持っている総合的な人間力が注目されるようになりました。

たとえどれだけ素晴らしいスキルや能力を持っていたとしても、人間力が足を引っ張ってしまえば、その価値は半減してしまいます。

この記事は、近年注目を集めている「人間力」に焦点を当てた解説です。

人間力とは何なのか?

そもそも人間力とは何なのでしょうか。

非常に曖昧で、ふんわりとしたイメージがありますよね。

まずは人間力の定義について、明確にしておきましょう。

人間力の定義となぜ人間力が必要とされるのか

近年、教育現場だけでなく、社会人になるための就職活動や経営者セミナーなどにも頻繁に登場するようになっているのが「人間力」です。

はたして、人間力とはどのようなものなのでしょうか?

人間力とは、ずばり「社会を構成し、運営するとともに、自立した一人の人間として、力強く生きていくための総合的な力」です。

人間力を捉える際に、まず考慮すべきなのは、日本が直面している問題なのではないでしょうか。

ひとつは「少子高齢化」、もうひとつは「グローバル化」であり、それらの問題を打開するために必要となるのが人間力なのです。

深刻化する働き手不足を改善していくためには、自立した人材の育成が不可欠でしょう。

激化する国際社会との競争に勝つためにも、ただ効率を高めていくような手法だけでは通用しなくなりつつあります。

創造的な知識の活用や国際社会の舞台でコミュニケーションできる力、リーダーシップを発揮する力を活かし、付加価値の高い商品やサービスで勝負することが重要です。

そのような人材を育成すべく、2003年、人間力戦略研究会によって、人間力とは「社会を構成し、運営するとともに、自立した一人の人間として、力強く生きていくための総合的な力」と定義づけられました。

そして人間力を育成するために、大学入試の仕組みや教育の在り方は大きく変わることになるのです。

人間力を構成する三つの要素

人間力を構成する基本要素は三つあります。

「知的能力的要素」、「社会対人関係的要素」、「自己制御的要素」です。

それぞれの要素を鍛えれば、総合的に人間力を高めていくことができます。

人間力の三要素①知的能力的要素

「知的能力的要素」では、知識を学び、身に付け、それを論理的な思考を駆使して表現しなければなりません。

インプットするだけでなく、状況によってどうアウトプットできるのかが重要です。

人間力の三要素②社会対人間関係要素

「社会対人関係的要素」では、相手の気持ちを理解したり、自分の考えをしっかりと相手に伝えるコミュニケーションの能力が求められます。

ルールを守り、その中でお互いに刺激し合い高め合うといった要素も含まれますし、目標達成に向けて周囲を巻き込むリーダーシップの要素も必要です。

人間力の三要素③自己制御的要素

「自己制御的要素」では、問題を解決するために継続して取り組んでいく粘り強さや、意欲が求められます。

受け身の姿勢ではなく、積極的に自分らしさを追求していく自立の要素も包括していると言えるでしょう。

学習塾で人間力を鍛えるための方法

人間力を鍛える方法は、特定の方法に限られるわけではありません。

家庭や学校、部活や友人関係の中でも鍛えられます。

またじつは塾内でも人間力を鍛えることは十分可能です。

知的能力的要素の鍛え方

学習塾では、どこまで人間力を高めていくことができるのでしょうか?

塾授業を通じて基礎的な知識を学べます。

宿題などを通じて、学習を定着させるやり方についても身に付けられるでしょう。

ポイントになるのは、授業を受けて「わかった」という状態で満足させないこと。

インプットに費やす時間と同じくらい時間を、アウトプットに費やす指導が大切です。

自宅で復習し、「わかった」という領域で満足させず、「自分ひとりでできる」状態まで訓練させる必要があります。

さらに論理的な思考力を伸ばすためには「読書」が欠かせません。

読解力や知識を身に付けるだけでなく、どう組み立てていけば相手に伝わりやすいのかといった点を学ぶ機会を設けていくべきです。

読書によって、コミュニケーション能力さえも磨かれます。

読書の習慣が身に付けば、将来的にも自己啓発に役立てたり、話題も豊富になるため、会話をするきっかけを作っていくことができるでしょう。

社会対人関係的要素の鍛え方

集団指導の場合、塾授業はティーチングの要素が強くなります。

講師から生徒に向けた一方向だけの指導ですから、これは避けられません。

そうなると生徒も受け身の姿勢が習慣化してしまいます。

そうならないように、頭の中を動かす習慣を身に着けさせ、生徒が自分の考えを発言するような仕掛けを、授業に用意しておくことが大切になるでしょう。

たとえば英語のスピーキングは重要な機会です。

英語の知識を活かし、自分の意見を伝える訓練はコミュニケーション能力の向上に繋がります。

新しい大学入試を攻略する上でも重要になるでしょう。

また生徒との個人面談でも、一方的な進路指導や学習アドバイスにならないようにしなければなりません。

コーチングの要素を採り入れ、生徒が話す時間を長くするようにしていくことも大切です。

そのために、どのような質問が効果的なのかを研究していくといいでしょう。

自分の意見を大人に話し、それを受け止めてもらったという経験は今後に大きな影響を与えます。

生徒と講師の信頼関係が深まるだけでなく、生徒は対人関係において自信を持つことができるからです。

講師は生徒のがんばりを評価するだけでなく「感謝の気持ちを積極的に伝えていく」機会を多く作っていくべきでしょう。

相手に対して感謝の気持ちを持ち、相手の長所に気付くような視点を持てれば、良好な人間関係を構築できます。

素直に感謝の気持ちを表現できるポジティブな姿勢を、講師がモデルとなって示すことが大切です。

自己制御的要素の鍛え方

面談時のコーチングは、講師が一方的に問題を解決したり、解決するアドバイスをするべきではありません。

  • なぜやる気が出ないのか
  • どうすればやる気が出るのか
  • どうすれば努力を継続できるのか
  • なぜ勉強しているのか

など生徒それぞれによって抱える問題は異なりますが、問題を解決する方法は、生徒自身に考えさせて「気づき」を与えるのがポイントです。

そのための問いかけや傾聴させなければなりません。

自立心や自学の意識はこうして育まれていきます。

これは集団指導の授業でも可能です。

  • 目標は与えられるもの
  • 勉強はさせられているもの

といった受け身の生徒たちに対し「目標は自分を成長させてくれるもの」であることを伝えていくことができれば、自主性は高まるでしょう。

>>やり抜く力・グリッドはどう鍛える?塾教育と自己制御的要素の関係性

まとめ

今後の日本の未来を支える人材の育成に、学習塾は大きな貢献ができるはずです。

  • 定期テストで得点が取れればいい
  • 志望校に合格できればいい
  • 学力がつけばいい

もしかしたらそういった動機だけで、学習塾に通うことを決めた生徒や保護者もいるかもしれません。

ですが講師や学習塾側はさらに高い志を持って、人間力の育成といった側面にも積極的に関わっていくべきです。

そしてそのためのスキルを身に付けるために自己研鑽しなければならないのです。

ぜひ志望校合格などの実績と共に、この学習塾に通えば人間力が高まるという評判を築き、これまで以上のニーズを獲得できる学習塾を目指してください。

 

>>塾での個別指導のやり方・方法!どうすれば生徒に理解してもらえる?

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