
様々な経験を基に、自分だけの塾を開くと、独立される塾講師の方は多いです。
大手、中堅企業から独立するケースが多く、参入障壁も低いため、塾は非常に活発に新規参入のあるビジネスと言えます。
しかし焦って開業をしても、準備がしっかりできてなければ失敗の恐れは高まるものです。
塾を開業し、経営を安定させるためのポイントは「開業準備」にあるのはご存知でしょうか。
今回は、塾の開業準備の目安と、やるべきことについてご紹介します。
もくじ
塾の開業準備の目安は3ヶ月
小規模な塾の開業にかかる期間は、余裕をもって3ヵ月ほどかかります。
事前に計画や準備が進んでいれば、1ヵ月でできる場合もありますが、焦りは禁物です。
時間をかければいいわけではありませんが、しっかりと道筋を立てることも必要。
最初に、開業準備の大切さについてお伝えします。
開業準備はとても大切
開業後、しばらくの間は授業に追われる毎日です。
手伝ってくれるアルバイト講師がいたとしても、スタートはきっちり高評価を得たいもの。
スタートで生徒を集められたら、その後も順調に生徒を増やせられるのが塾ビジネスです。
塾長は塾の顔ですから、高品質な授業はそのまま塾の評価に直結します。
ですから、塾長自らが教室に入り、授業をするべきです。
しかし、授業と平行して、経営に必要な手続きを続けるのはかなり大変。
どっちつかずに陥り、疲労だけが蓄積し、いいサービス提供ができずに、生徒が集まらない恐れもあります。
一講師として授業をしていたときは、生徒のことだけを考えていればよいのですが、経営者となるとそうはいきません。
「生徒を集める」が一番の仕事ですから、開業後、半年間は現場に専念できるようにしておきましょう。
それでは、塾の開業準備について、1つずつご紹介します。
>>塾の経営は難しい?これから開業を目指す人が知っておきたいこと
塾の開業準備①企業ドメイン・コンセプトを考える
企業名を決めたら、最初にドメインの取得とコンセプトをきちんと立てましょう。
どちらも経営には欠かせないため、迅速かつ冷静に、様々な視点から物事をとらえて決めてください。
これらを踏まえて、開業までの計画の立て方と注意点をご紹介します。
開業までの計画を立てる
開業までの計画として、最初はコンセプトと企業ドメイン(活動領域)です。
授業のコンセプト=塾での指導となるため、自らの目指す理想の教育を形にしていきましょう。
自社が塾業界の中で「だれに(どんな層に)」「なにを(どんな授業を)」「どうやって(どんな手法で)」サービスを提供するのかを定めます。
ターゲットを絞り、授業の品質目標を定め、それをどうやって提供するのかは、塾が生き残るためには不可欠なもの。
事業の方向性が、大きく逸れないために大切なのが、起業時に掲げるコンセプトや企業ドメインなのです。
もちろん企業ドメインは、成長にしたがって変更が必要な場合もありますが、自社の目指すべき場所を教えてくれるコンパスとして、いつも意識してください。
これらが決まっても、まだやるべきことはたくさんあり、
- 教室の立地、規模
- システム
- 教材
- 経営計画
など、これらをすべて1人で決めていかなければなりません。
塾長に立ち止まる暇はないので、深く考えて、よりよい指導ができるよう、精査していきましょう。
無計画な企業は必ず失敗する
経営には緻密な計画が必要です。
頼れるべきは自分自身。
しかし、日々の授業や経営で冷静さを失ってしまう場合もあります。
そんなときに開業前に立てた計画が、目安になるのです。
- 目標人数と現塾生数
- 教室の雰囲気
- 口コミ(生徒からの紹介)
など、当初の計画からのズレを見つめなければなりません。
最初からうまくいくのも至難の業ですが、計画とかけ離れ過ぎていては軌道修正が必要です。
開業前の計画に対して、現在の位置を必ず把握するようにしましょう。
無計画な場合、振り返り、照らし合わせができないため、現状を知れません。
計画に沿って事業を進めるのが企業ですから、無計画での成功はありえないのです。
経営はいつも真剣勝負。だからこそ、軌道修正の基準も含めて計画を立てなければなりません。
塾の開業準備②教室や機材などを準備する
次に教室や機材選びです。
これらはこだわらなければ容易に選べますが、しっかりとこだわりましょう。
ここでは、教室選びと機材選びのポイントをご紹介します。
一度選んだら変えられない!場所選びは慎重に
塾の場所選びは非常に重要です。
立地条件で、生徒の集客数は変わるので、他塾の開校状況の調査はもちろんですが、生徒が通いやすい場所を選びましょう。
小規模の塾は、1つの学校だけだと集客が厳しくなります。
ですから、大手のできない複数の学校から生徒をコンスタントに獲得できる場所がいいです。
他にも、現在は夫婦共働き、片親の家庭も増えているため、
- 街灯がきちんとある
- 送迎の負担にならない
- 駐車スペースがあるか
など、生徒の通塾についてもきちんと考慮しましょう。
近隣からのクレームが出たり、生徒が通塾できなかったりでは意味がありません。
送迎のしやすさは、保護者にとって大きなメリットになります。
場所は一度選んでしまうとそうそう変えられないので、慎重に選びましょう。
初期費用は可能な限り抑える
立地も含めてですが、建物、内装、機材の費用はできる限り抑えましょう。
もちろん、きれいさやカッコよさ、使いやすさは必要です。
しかし、こだわりすぎて初期費用がかかりすぎるのはNG。
計画通り生徒が集まらなかったとき、すぐにジリ貧になってしまいます。
大手は資金力があるので、見た目にこだわって開校できます。
小規模の塾は、まずは生徒を集める、そして利益を生み出すのが先決です。
かといって、安くてもボロボロな環境では生徒も集まりません。
見栄を張らず、十分な指導ができる環境を目指して、初期投資の額を抑えましょう。
順調に生徒が集まってきたら、新しいものに買い替えたり、2つめの教室でこだわりを織り込むとよいのではないでしょうか。
塾の開業準備③諸手続きをする
続いて諸手続です。
起業して数年は、各種税金対策も必要なので、個人事業主としての開業がいいでしょう。
もちろん、株式会社としての開業もメリットがあるため、どちらを選択するにせよ、きちんと計画を立てる必要があります。
ここで、あとから申告しようと無申告で開業される方もいますが、絶対にやめましょう。
当然のことながら、無申告は違反ですから、そもそも塾として活動する資格はありません。
無申告は絶対NG
無申告での開業には各種罰則が用いられています。
企業は利益を出すのも必要ですが、社会貢献も大切です。
塾は私企業とはいえ、子供に教育を行う場所ですから、社会に対しての責任を果たさなければなりません。
特に、無申告での開業が公になってしまい、
- イメージダウンによる悪評が広がる
- 処理に膨大な時間がかかり、時間が圧迫される
- あまりにもひどい場合は刑事罰が適用される
といった恐れがあります。
特に無申告での開業し、延滞税や加算税が追加され、資金のショートがするのも危険です。
申告を手間ととらえず、堂々と運営を行うためにも、きちんと申告をして開業をしましょう。
塾の開業準備④集客をする
開業後の集客も必要ですが、やはり開業と同時にどれだけ生徒を集められるかは、その後の企業の運営を大きく左右します。
出だしで転んでしまうと、後から挽回するのは大変です。
特に、塾は口コミで生徒を増やしていく業態なので、スタートから結果が求められます。
開業直後のスタートダッシュがうまくいけば、半年~1年がはなんとかやり過ごせるはずです。
さらに、その後も順調に努力を続ければ、生徒が増え続けて経営を安定させられます。
開業直後にきっちり目標人数を集めて、スタートから経営を軌道に乗せましょう。
ほかの塾との違いを大きく打ち出そう!
他塾との差別化は、新規出店時はもちろん、企業を永続させていくために必須です。
特に、小規模の塾では大手と同じ方法では生徒を集められません。
他塾との違いを前面に打ち出して、1人でも多くの生徒を獲得しましょう。
そして、通塾が決まった生徒を徹底的に可愛がるのも大切です。
どの塾でも新規開校の際、広告等で地域への新規出店のアナウンスをすると、消費者は「新しく塾ができた」と認知し、情報を集め出します。
塾の場合、転塾を考えている生徒は常に市場に一定数いるので、比較的早い段階で地域への認知は広がるでしょう。
ここで、体験授業や日々の授業の中で、生徒や保護者からの評価を得られたら、その声は一気に広がります。
開業後、じっくり地道になんて必要はありません。
無謀な目標もいけませんが、1人の声が10人、20人と連れてくるのが塾ビジネスです。
その1の声を拾うためにも、他塾との違いを打ち出し、言葉に負けないサービス提供を行い、結果をつかみましょう。
>>塾の生徒の効果的な募集方法とは?ブログやSNSも活用しよう
塾の開業準備まとめ
塾の開業準備はとても大切です。
塾は開業直後の動向が、経営に大きく影響します。
地道な集客活動も必要ですが、開業直後は現場に特化できる環境を整えておきましょう。
立地や機材の選定、初期投資を減らす、各種手続き、集客戦略等、考えることは多いです。
しかし、これらはすべて、経営をうまくいかせるためには必要になります。
「生徒に最良の教育を」
「自分の思う理想の指導を行いたい」
そういった熱い思いで、塾を開業される方が多いです。
その思いを現場に思いっきりぶつけられる環境を作る。
開業準備は、そのための行動なのです。
1つ1つ、正解がわからないものになりますが、これまでの知識やスキル、経験を活かし、緻密な計画を立て、来るべき開業に備えましょう。
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