主体的な学びと学習塾

コラム

「主体的・対話的で深い学び」と言いますが、「自主的」ではいけないのでしょうか。

また、「深い学び」であって、「深い勉強」とは言いません。

学びと勉強は違うものなのでしょうか。学校が個別最適化を目指し、AI教材を導入していく中、塾ではどんな教育を考えていくことになるのでしょうか。

自主的と主体的

辞書で調べると、自主的とは「決められていることを自ら進んで行動すること」主体的とは「決められていないことを、自分の意思で決めて行動すること」とあります。

例えば、次回の授業範囲を生徒自ら学習することは「自主的」な学習と言えます。

授業範囲外のことを生徒自らの判断で学習することは「主体的」な学習になります。

これからの教育で求められているのは主体的な教育になりますが、子どもはどうすれば主体的になるのでしょうか。

言葉遊びのようで恐縮ですが、それは子どもを主体にすることだと思います。

私は以前「山村留学」の校長をしていた時があるのですが、様々な事情を抱えた小学生達と一年間一緒に暮らすと、子ども達は見違えるように自主的、主体的な子どもに成長します。

食事の準備や部屋の掃除、ケンカや口論を治めること等、共同生活に必要なことは全て「子ども会議」を開き、子ども達自身でルールを作って運営していきます。

そんな生活の中で子どもが主体的になっていくポイントは3つありました。

  1. 大人が口出ししないこと
  2. 子どもに選択肢を持たせること
  3. 子ども自身が「起点になる経験」をすること

です。

③については、例えば「ニワトリ小屋作り」のリーダーになり、自分が起点となって周りの人を動かし、小屋を完成させるような経験です。

塾で言えば、生徒が自分で選んだ学習方法で、各教科の先生に質問や相談をしながら先生を動かし、目標を実現していくような経験です。先生に教えられて動くわけではありません。

勉強と学び

認知心理学者の佐伯胖教授によると、勉強とは「教えに従って身につけるべくことを身につけること」学びとは「自分からこうありたい自分になること」と定義されています。

勉強は、先生の教えが先にあることが大前提で、生徒は先生の教えに従うことになります。

勉強の語源はもともと「勉め強いる」という、無理やりにするという意味があり、「基本を徹底的に勉強させる」という使い方をします。

一方、学びの本質は生徒自ら「問い」を立てることにありますから、学びでは「答える力」ではなく、「問う力」が重要になります。

したがって、今後求められる授業形態としては、基礎知識を「勉強」した後に、問いを中心とした探求型の「学び」の時間を作っていくことが考えられます。

ここに、答えがある勉強はAIやデジタル教材で個別最適化し、答えのない学びの探求には人間先生が授業をするという、教務の棲み分けのイメージができます。

 

「自主的」「主体的」「勉強」「学び」というキーワードでマトリクスを作ると、今後の自塾のあるべき姿を想像することができます。

例えば、「主体的 学び」に力を入れていくのであれば、生徒を起点にして生徒同士で話し合って運営する自然体験合宿事業も考えられます。

また、「自主的 勉強」の部分はAI教材導入、「自主的 学び」の部分は先生のライブ授業に力を入れていくことになります。

学習塾の在り方は様々ですが、時代がどんなに変わっても、この4つのキーワードの組み合わせの強弱を変えることで、時代変化に対応した塾のあるべき姿を考えることができます。

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