見た目の8割は「色」

コラム

人は見た目が9割と言われる程、人間の五感では視覚が多くを占めます。そして、その視覚の8割は「色」が占めると言われています。学習塾でも色が果たす役割は大きいのではないでしょうか。

色は脳で見る

虹の色を7色に分類したニュートンは「光線に色はない」と言いました。光に色があるのではなく、光の波長ごとに人間の脳が色をつけているのです。目の網膜には、光の明るさを感じる「かん体」という細胞と、波長の違いを色に置き換える「すい体」という細胞があります。「すい体」には、「光の三原色」と呼ばれる赤、青、緑に置き換える3つの細胞があります。赤、青、緑の強弱の組み合わせで様々な色に変換します。リンゴが赤いのは物理的に赤色がついているわけではなく、様々な波長を含む光がリンゴに当たった時、赤色に該当する波長のみ皮が反射することから赤色と脳が判断します。リンゴに緑色の光をあてると、赤色に該当する波長がなく反射するものがないため、人間の目には黒色のリンゴに見えます。色を感じた後は、網膜から流れる色の電気信号が脳の中枢に伝わり、記憶や食欲等の本能的欲求を司る大脳辺縁系に刺激を与えます。つまり、色は脳に影響を与え、脳で見ているわけです。脳に影響を与えるからこそ、色は重要と言えます。

色と感情

色彩心理学によると、人間は色に対して2種類の意味を脳で感じています。一つは、ほぼすべての人が同じように感じる色のイメージです。白は平和や清潔さ、赤は情熱や興奮、青は冷静さや誠実さ、緑は調和や安心感といった気持ちを感じさせます。集中力と持続性が必要な勉強には、青色が効果的と言われています。勉強部屋の電灯には、真っ白な「昼白色」より、少し青みがかった「昼光色」と呼ばれるライトが効果的です。もう一つは、個人的な経験や記憶とつながっている色のイメージです。授業では、覚えるべき大事なことは赤色で書くよう生徒に指導するケースが多いですが、色彩心理学では好きな色で書くことが一番記憶に残るそうです。生徒の暗記力を上げるには、生徒にどんな色が好きで、なぜその色が好きなのかを聞いた上でその色を使わせると効果的です。

色と企業メッセージ

色は企業イメージを世間に浸透させる効果もあります。銀行で言えば、みずほ銀行のコーポレートカラーは青色で、誠実さや信頼感をアピールしています。一方、三菱UFJ銀行は赤を基調とし、活力ある組織と顧客と向き合う情熱を訴えています。Googleのロゴは、色の三原色である青・赤・黄で構成されていますが、そこに緑も入れられています。色の順番も青→赤→黄→緑ではなく、青→赤→黄→青となっています。こうすることで「我々はルールに縛られない、従わない」という企業メッセージを込めているそうです。色が人間に感じさせるイメージを活用することで、何を大事にする会社なのかを市場に浸透させることができます。他塾との差別化に悩むことがあれば、塾のコーポレートカラーを見直してみることも重要です。

 

色について普段意識することはないかもしれませんが、色は脳に影響を与え、特定の感情をイメージさせる力があります。色をマーケティングでも意識すれば、他塾との差別化にもつながります。生徒が「色」で塾や先生のことを思い出してくれるとしたら、色にこだわらずにはいられません。

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