塾へのクレームの原因は?対応方法と保護者の心理

学習塾での指導

塾の運営において、クレームの対応はとても大切です。

塾は口コミで生徒募集の効果を上げる職業なので、クレームへの適切な対処は、生徒募集の成果に直結します。

しかし子ども相手の職業だからこそ、

  • 上手にクレーム対応ができない
  • クレーム対応に自信がない
  • 保護者相手にどう話していいかわからない

となってしまう方もいるでしょう。

とくに新人の講師の場合は、対応に困る場合も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、塾に寄せられるクレームの種類や対応についての考え方を解説します。

クレームの原因と対応法を知り、備えることで的確な対応ができる体制を整えましょう。

>>塾運営に関する各種資料ダウンロードはこちら

\ビットキャンパスの詳細はこちら/

塾へのクレームの原因・理由・心理

塾へのクレームは基本的に保護者からのものです。

子どもの不満を親が言う場合もありますが、それは稀なのではないでしょうか。

クレームの多くは保護者であり、保護者が満足していないケースがほとんどです。

まだクレームを言ってくる保護者は良い方です。

我が子を塾に預けている以上、塾への不満があっても先生に直接クレームを言う保護者は少なく、不満が表面化したときには、クレームではなく退塾の電話になっていることが多いのです。

表面化してこないクレームに事前に対応できるようにするため、ある塾ではクレームや退塾理由の分析を行いました。

すると、入塾して半年間での退塾は、塾の不手際が原因、入塾して半年から一年の退塾はコミュニケーション不足、そして入塾して一年後の退塾は成績不振、が理由だったことがわかりました。

全ての塾に当てはまることではありませんが、クレームを未然に防ぐためにも、自塾の退塾理由やクレーム内容を分析し、退塾やクレームが発生する前に対策を打つ必要があります。

一般的に、保護者の満足度が下がるケースは次の3つです。

  1. 成績が伸びていない
  2. サービスが金額に見合っていないと感じる
  3. コミュニケーションの不足

こうした問題に対するクレームは、真摯に対応することで逆にファン化することが可能です。

クレームの原因① 成績が伸びていないこと

最も多い原因は成績が伸びていないことです。

塾側は、保護者の「成績が伸びていない」という判断基準がどのレベルなのかをある程度把握しておかなければなりません。

次の定期テストで成績が上がるかどうかを見ているのか、年度内に上がればいいのか、入試までに上がればいいのか、学校の平均より順位が上にいけばいいのか、保護者の価値観にもいろいろあります。

保護者との入塾面談時に、成績についての価値観を保護者からきちんと引き出し、塾内で情報共有しなければなりません。

そのためにも、塾の成績管理ツールの一元化と情報共有はものすごく重要になるのですが、塾の中には、生徒の成績状況管理を講師任せにしていたり、組織として成績下降生徒に対策を打つことをしていないところもあります。

保護者が塾に求めていることは、子どもの成績を上げること、であることは疑う余地もないことです。

学校の定期テスト、通知表、模試、小テスト結果の成績は、成績上昇・下降生徒を実名で先生間で共有し、下降した生徒には、保護者からのクレームが来る前に事前に対策を講じておくことが必要です。

また、成績が上がらない原因や理由を生徒視点で把握することも重要です。

ある塾長が言っていました。「生徒の成績は会った瞬間にある程度わかる。机に置くテキストやノートをきちんとそろえて置く生徒は決まって成績がいい。逆に乱雑な生徒は成績が悪い。ノートの書き方もきちんとしているのは上位層」だそうです。

生活習慣、学習習慣も、成績向上の重要なバロメーターです。成績が下がる前に、それらの習慣も徹底指導することが重要です。

保護者が満足いくほど成績が上がっていなくても、真摯な対応と今後の課題や見通しを伝えるだけでもクレームは激減します。

それが保護者の安心感、満足度の向上に繋がるのです。

成績に関しては大幅に向上した場合を除けば、対応や指導法の改善をする余地があると常に考えましょう。

クレームの原因② サービスが金額に見合っていないと感じた時

価格とサービスのバランスは非常に大切です。

保護者にとって、塾に通わせるのは投資と同じです。

保護者は「成績が上がる対価」としてお金を払っています。

しかし現実的には、入塾してすぐに成績が上がり続けるわけではありません。

「成績が上がる取り組みをこれだけしている」「成績上位者の特徴であるこのような学習習慣がついてきた」等、保護者に定期的に報告し、情報を共有していかなければなりません。

特に学習塾業界は、他のサービス業と違い、お金を出している人(保護者)とサービスを受ける人(生徒)が違うという、珍しい業界です。レストランであれば、お金を払うお客様においしい料理を提供すれば満足していただけます。しかし、学習塾は、どんなに生徒に手厚く対応したとしても、そのことが保護者に伝わっていなければ満足度が下がる業界なのです。

特に高単価となる個別指導形態の塾は、毎回の授業報告をすぐに保護者にお知らせするだけでなく、子どもの成長や変化を、具体的なエピソードを交えてきめ細かく報告することが重要です。

サービスの価値は、保護者の価値観ともつながっていますから、入塾時の保護者面談でしっかりヒアリングしておき、教室内で常に情報共有しておくことが欠かせないでしょう。

クレームの原因③ コミュニケーションが不足している時

保護者とのコミュニケーション不足はクレームに直結します。

保護者の立場で考えてみましょう。

  • 塾でしっかりやっているか
  • ちゃんと理解して進められているか
  • 友達と騒いだり、遊んだりしていないか

など不安はいつも持っているものです。

保護者からすれば、塾での我が子の様子は見えないのです。特に思春期の子は、「今日の塾はどうだった?」と聞いても、「べつに」「ふつう」とそっけない返事しか返ってこないものです。

そして生徒の側も、塾で嫌なことがあった時に限って、家で保護者に不満をぶちまけます。

ある塾では、塾で子どもを厳しく叱り、泣いて帰って行くのを見届けた上で保護者スマホにメールを送り、「今日、お子様は泣いて帰ってくると思います。こういうことがあって厳しく叱っています。そこがよくなれば必ず成長すると思ってのことです・・・」と事前に連絡していました。

塾側から何も連絡がなければ、保護者は子どもが言うことを信じるしかありません。「あの先生がそんなことをするの?」と不信に思うしかありません。その積み重ねがやがてクレームにつながります。

また、ある塾では、毎月生徒全員の家庭に電話をかけることをルールにしています。長々と話し込む電話ではなく、生徒を褒める内容を短く、回数多く保護者に報告するというものです。

今は共働き家庭が多いですから、母親も仕事で疲れて帰ってきます。そんな時に塾から電話がかかり、「引っ込み思案の○○君が、今日初めて授業で挙手したものですから、それがうれしくて電話しました!」と、短い電話がかかってきたら母親はどんな気持ちになるでしょうか。

自分の子育てが間違ってなかった、あの塾に通わせてよかった、と自己肯定感が高まります。子どもが塾から帰ってきても、「今日先生に質問したらしいね!すごいじゃん!」と褒めてしまうでしょう。

褒められた子もうれしくなります。

コミュニケーションは、質より量が大事です。

塾側から積極的にコミュニケーションをとっていれば、保護者は何か問題があった時に「実は先生・・」と悩みを打ち明けてくれるものです。

保護者へのコミュニケーションがしっかりとれていればクレームを未然に防ぐことができます。

大きなクレームとなる前に、日々のコミュニケーションの中でクレームの抑止を図りましょう。

>>塾での個別指導のやり方・方法!どうすれば生徒に理解してもらえる?

クレームの対応方法

塾へのクレームは予想外のタイミングで来る場合が多いです。

分かっていれば先手を打てますが、既に発生したクレームに対しては適切な対応をしなければなりません。

クレーム対応のポイントは次の3つです。

  1. 塾側に落ち度がないか考える
  2. 問題があれば真摯な対応をする
  3. 生徒や保護者とのコミュニケーションを改善する

他にもやるべき対応法はありますが、まずはこの3つをしっかりとやりきる方向を目指しましょう。

塾に落ち度がないかを徹底して考える

塾に寄せられるクレームの中には理不尽なものもありますが、塾側に落ち度がある場合も少なくありません。

責任を回避することはできますが、まずは塾サイドの落ち度がないかを考えましょう。

  • どのレベルを目指して指導をしたか
  • 成績向上のために何をしたか
  • プランニングは明確で正確だったのか
  • コミュニケーションは十分にできていたか
  • 対応を放置していなかったか
  • 質問への対応や補習は十分な内容だったか
  • 生徒に対してどれだけの時間をかけて対応したか
  • 不満の芽はどこまで把握できていたか

このように自塾を見つめ直すことで、誠意を持った対応をするべきです。

問題が見つかれば真摯に対応をする

確実に塾側の落ち度があると断言できない場合でも、必ず真摯に対応をしましょう。

対応できることとできないことを明確にして、どう対応するかを保護者にはっきりと伝えましょう。

できない要求に対してははっきりと伝え、できる範囲の対応を明確にし、要求されそうな要素については事前に予測し返答する。

そして保護者に伝えた対応・改善策は、全員で協力して取り組み、必ず実行してください。

クレームに真摯に向き合い、対応することが、結果的にファン化を促進してよい顧客となることもあります。

真のロイヤリティを持つ固定客はクレームから生まれることが少なくないのです。

生徒・保護者とのコミュニケーションを頻繁にとる

クレームへの対応で最も大切なのがコミュニケーションの強化です。

塾側でしっかりと対応していても、コミュニケーション不足で更なるクレームが起きてしまう場合もあります。

逆に考えればコミュニケーションをしっかり行うことで、小さな不満の芽をすぐに解消し、満足度を改善することもできるのです。

生徒のパーソナリティをよく把握し、尊重することが大切です。塾に預ける前から、保護者は我が子の性格や考え方を尊重して子育てしてきていることを理解し、下記の情報をしっかり把握しておかなければなりません。

  • 学校での様子
  • 部活や他の習い事の様子
  • 友達との様子
  • 悩みや不満
  • 嬉しかったこと、楽しかったこと

こうした私生活に踏み込んだ、生徒とのコミュニケーションをしっかりとりましょう。

また保護者に対しても、こめまな日々のフィードバックを行い続けましょう。

それが不満の芽を小さくし、クレームへの対応や発生の防止に役立ちます。

>>選ばれる塾になるには?人気の塾に必要な要素とは

塾へのクレームを回避するために

クレームは運営している限り、どんなに気をつけていても起こり得るものです。

クレームが発生する度にその原因を分析し、二度と同じことが起こらないような対策をその都度講じておけば、クレームの数を大幅に減らせます。

成績を上げることもコミュニケーションを深めていくことも、人間的な触れ合いの時間を多くとることが前提です。

その触れ合いの時間を最優先にするのであれば、そうでない業務時間は極限まで減らし、講師やスタッフの労力を軽減していく必要があります。

クレームの原因は多くの場合、「うっかり忘れていた」「約束をメモしていなかった」「電話を忘れていた」といった人為的なことが多いですから、業務軽減だけでなく、人為的ミスを減らす目的でも、システム導入を検討する必要があるでしょう。

クレームを防ぐためのシステム化のポイントとしては次の通りです。

  1. 無駄な業務を見直す
  2. IT化・システム化により効率化を図る
  3. システムを活用したコミュニケーションを図る

運営の工夫により、減らせるクレームは実はかなり多いのです。

教室側の問題ではなく、塾全体の課題として、ぜひ参考にしてください。

無駄な業務を見直す

徹底的な無駄の削減は、クレーム回避に直結すると言っても過言ではありません。

塾業界はIT化が進んでおらず、システム導入に後れを取っている場合が多いのが実情です。

あなたの塾ではどうでしょうか。まだまだ非効率な業務を惰性で続けてはいませんか?。

  • 授業報告書・日報などが手書き
  • 個人情報(成績、カリキュラム、座席、月謝請求など)の管理がExcelかつ手作業
  • 教材・授業準備(教える内容の予習や講師への指示書含む)がある

こうした半自動化・効率化できる業務を特に意味もなく手作業で行わせていませんか?

これらにかかる時間の一部でも生徒や保護者へ充てることで、クレームを防ぐサービスの質の向上につながることでしょう。

非効率な業務を「社員がやって当たり前」と考えることが、生徒・保護者対応の余力を減らし、クレームに繋がってはいませんか?

日本のサービス業の中で、学習塾業界の労働生産性はかなり低い位置にあります。

2023年度の「TKC経営指標」によれば、学習塾業界の従業員一人当たりの売上高は5,671千円で、39業界中32位となっています。

過去の慣例や惰性によって業務プロセスの改善が進んでいないことが原因です。

業務プロセスの無駄や問題が余力を圧迫し、ミスを生み、クレームの原因となってはいませんか?

IT化・システム化を進めて効率化を促進する

効率化の促進には、IT化、システム化を推し進めるのが理想です。

近年は「いかに人の手作業を減らすか」という方向へ向かっています。

運営に関わる業務プロセスの見直しを進め、効率化を進めることは必須です。

ですがそれだけでは不十分となりつつあり、今後はIT化・システム化・自動化は必須だと断言します。

  • システム化して簡素化する
  • IT化して簡略化する
  • RPAを採用し、機械にやらせる

人手が必要な業務をこうしたシステム化により削減する方向へと向かうべきです。

塾業界はとくに人材不足が深刻な業界とも言われています。

さらに競争も激化しているため、他社よりも早くIT化・システム化を図るメリットは大きいです。

時代の流れに乗り、余力を生み出し、生徒や保護者への対応に充てる。

この工夫がクレームの抑止はもちろん、従業員の満足度を上げ、経営の安定化に繋がります。

システムを活用したコミュニケーション手段を使う

生徒や保護者とのコミュニケーションは、対面や電話だけではありません。

システムを活用しインターネットを活用したコミュニケーションを進めるべきです。

共働き家庭の増加、スマホ利用の日常化により、生徒も保護者も家庭の固定電話にかかってくる連絡には出ない傾向にあります。スマホ携帯にかけても、仕事中等ですぐに電話に出られるとは限りません。

具体的な方法としては、以下のように様々なツールがあります。

  • LINEなどのメッセンジャーアプリ
  • 生徒や保護者が自由に書き込めるイントラ掲示板
  • メール送信サービス(入退室や授業進捗状況など)
  • SNS(Instagramやツイッターなど)の活用

特に授業の様子を保護者へできるだけ多く伝えることは、満足度、安心度の向上にとても効果を発揮します。

もちろん講師が保護者と電話や対面で直接伝えることはとても大切です。

しかし毎日生徒が塾に来るたびに電話をかけていたり、訪問したりするのは現実的ではありません。保護者もかえって迷惑でしょう。

そこでメールやシステムでコミュニケーションができ、子どもの状況が伝えられるのは便利ですよね。

1回の電話が効果を発揮する場合もありますが、毎日の継続したメール報告も安心感を与えられます。

コミュニケーションを密にとるためにも、システムを活用するべきなのです。

>>重要!塾内でのコミュニケーションの大切さ

塾へのクレームまとめ

大きな塾・小さな塾問わず、クレームは少なからずあるものです。

クレームに対しては、次の2点に注意することがとても大切です。

  • どのように対応するか
  • いかに未然に防止できるようになるか

これらに徹底的に力を入れた運営が必要です。

クレームの少なさも、適切な対応も、塾の信頼感に繋がります。

クレーム対応は、スピード対応と継続的な再発防止の取り組みが重要です。

起きるのを防止しつつ、起きたら迅速に、真摯に対応をする。

そのためにも、システム化やIT化に積極的に取り組み、生徒や保護者とのコミュニケーションに時間を割けるよう、業務の効率化が必要です。

クレームは悪評が流れるピンチでもありますが、逆にチャンスでもあります。

対応がよく満足度が上がれば良い評判へ変わるからです。

クレームを悪と決めつけず、クレームから学びチャンスへと変えていきましょう。

 

>>生産性アップ!塾管理・経営システムでできることとは?

 

塾の運営業務とは?塾を支える重要な運営・管理業務を紹介
塾講師といえば、現場で生徒に教えるイメージが強いです。 しかし、塾講師もサラリーマンです。 他の業種と同じように、運営・管理業務へのキャリアアップもあります。 身近なところでは教室長というポジションがあり、大手の塾であればエリアマネージャー...

 

>>塾運営に関する各種資料ダウンロードはこちら

\ビットキャンパスの詳細はこちら/

タイトルとURLをコピーしました