
働き方改革を受け、世間では労働環境改善が叫ばれています。
塾業界は長い間、長時間残業や休日出勤など、労働環境はお世辞にもいいとは言えない状態でした。
しかし、現代では労働環境の整備をしなければ企業を守れない時代になっています。
そこで、システム導入を検討しているときに直面するのがコストです。
労働環境を整えたくても、資金がないからできないと思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、システム導入費用を抑える方法をご紹介します。
IT化の重要性やシステムの種類、ASPタイプのメリットやデメリットをお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
塾の業務効率化にはIT化が必須
労働環境改善のためには、業務の効率化が必須です。
そこで、IT化は避けては通れない道でしょう。
これまでのアナログから脱却し、デジタルへと変化させていくためには、古い慣習は捨て去らなければなりません。
業務効率を上げるためのIT化が必須な理由は、
- 働き方改革をしないと人が集まらない
- 塾内のあらゆるデータの効率的な活用
- 次の教室展開に備える
の3つです。
IT化は職場環境を一新させるアイテムなので、ぜひ導入に向けて前向きに検討しましょう。
働き方改革をしないと人が集まらない
現在、就職・転職市場は求職者有利の状態が続いています。
少子化に伴い、労働人口が今後も減少していくとともに、企業にとって人材確保は至上命題です。
いい教育を行いたくても、人材がいなければ理想の教育は行えません。
より優秀な人材を確保するためにも、市場の動向は把握する必要があるでしょう。
しかし、優秀な人材は引く手あまたです。
労働環境がいい企業に入りたいと思う方も増えています。
そのため、政府が推進する働き方改革に乗っ取った労働環境整備は必須です。
現在の塾業界は、まだまだ労働環境の整備は整っていません。
つまり、今、労働環境の整備ができれば、他塾との差別化を図れるのです。
人生の長い時間を過ごす職場だからこそ、労働者側から見ればよりよい環境がいいですよね。
また、現段階で整備ができていなくても、整備に着手しているだけでアピールポイントになります。
経営者として、労働者を大切にしているイメージも与えやすいため、労働環境の整備は人材確保に効果的な手段なのです。
塾は情報産業。塾内に散らばるデータを活用する時代
学習塾は情報で溢れ返っています。
生徒情報はもちろん、成績アップや合格率、エリア内の学校数、人数など、無数のデータがあり、いかに活用するかがポイントです。
膨大な量のデータを活用するためには、ITがなければ難しいでしょう。
例えば、生徒の成績アップを紙面に乗せたいとします。
この場合、必要になるのは、前回と今回の成績データです。
これをITなしでやろうとすると、1人1人の成績データを見ながら手作業でやらなければなりません。
さらに、前々回との比較、その前もとなるとかなりの時間が必要です。
ITを取り入れれば、これらが1クリックですぐに表示されます。
成績アップデータだけでもかなりの時間が生まれるため、これ以外のデータ抽出をするとなると莫大な時間が生まれると予想できるのではないでしょうか。
データ活用は募集にも通塾継続および退塾防止にも必須です。
活用しやすい状態を作るためにも、IT化は避けて通れないと言えます。
業務の標準化・クラウド化をしないと次の教室展開ができない
教室展開を考えた際、最も頭を悩ませるのは人材ではないでしょうか。
教室長として教室を支えられる人材は、正直そう多くはいません。
責任感や指導力だけでは教室運営はうまくいかないのです。
そうなると、できる人材が2教室、3教室と兼任しなければならなくなります。
もちろん、経営者やエリアマネージャーが管理をするとしても、情報の一括管理は必須です。
各教室の状況を正確にとらえなければ、業務分担もできません。
塾は教室が比較的離れているため、毎日、常に顔を合わせて仕事ができない職種です。
特に期別講座、テスト対策になると、各教室ごとに授業が行われるため、全員がそろう機会は少なくなります。
そのような場合でも、各教室の状況はいつでも見られる状態にしなければなりません。
それも、時間をかけてではなく、いつでもすぐに見られなければなりません。
でないと業務の割振りも的確に行えませんよね。
そのため、業務の標準化・クラウド化は、労働環境改善のため、また管理者の管理しやすい環境整備のためにも必須なのです。
システムには2つの種類がある
システムと一言で言っても、業態や規模によって扱いやすいものとそうでないものがあります。
サーバーを置く場所によって分類することができ、大きく分けると
- クラウド上にサーバーを置くASPタイプ
- 会社にサーバーを置くオンプレミスタイプ
の2種類です。
専門的な知識がないと、失敗につながるため、双方の違いをしっかりと把握しておきましょう。
クラウドにサーバーを置くASPタイプ
クラウドとは、インターネット上にサーバーを置いているものとご想像ください。
会社内に機器を設置しなくていいため、
- 初期コストが安い
- 利用料も抑えられる
- 契約が済めばすぐに使える
- メンテナンスが楽
- 既存のシステムとの連携がしやすい
- 障害対応はサービス提供業者が行う
といったメリットがあります。
特に学習塾では、必要なコンテンツが塾毎に大きな差はありません。
小規模~中規模の学習塾では、ASPタイプで十分対応が可能です。
また、比較的規模の大きい場合でも、業務の一部をASPによって自動化できるため、柔軟な対応ができます。
費用的にもオンプレミスタイプと比べるとかなり安く抑えられるため、他業種でもクラウド導入によるシステム化が主流です。
会社にサーバーを置くオンプレミスタイプ
オンプレミスタイプは、会社にサーバー機器等を設置し、ソフトウェアも独自に購入する方式です。
メリットとしては、
- カスタマイズしやすい
- 既存のシステムとの連携における自由度が高い
の2点が挙げられます。
一方でデメリットとして、
- コストが高い(導入、利用、災害対策など)
- 導入までに時間がかかる
- 障害対応は自社対応
- サーバーのスペックが大きくなりがち
です。
スペックが大きいほどコストもかかりますし、故障の際の修理対応にも費用が多くかかります。
潤沢な資金力がある場合は独自的な利用が可能です。
しかし、中小規模の塾の場合、コストパフォーマンスは高いとは言えません。
それならば、少ないコストで運用できるASPタイプを選択し、人材を有効活用した自社ブランディングをした方が、大きなメリットが得られると言えます。
ASPタイプの塾システムは導入費用が安価
ASPタイプのシステムは、オンプレミスタイプと比べて導入コストが安い点が最大のメリットです。
いくら素晴らしいシステムを導入し、労働環境改善を行っても、収益が上がらなければ意味がありません。
収支のバランスという面でも、これからシステム導入を考えている場合はASPタイプを選ぶといいでしょう。
ASPタイプの塾システム導入のポイントは、
- 導入までのプロセスがシンプル
- 常に最新のシステムが使える
- 家庭からの費用徴収によるシステム導入が可能
の3つです。
導入までのプロセスがシンプル
機材設置やサーバー、ソフトウェアの購入など、様々な手続きが必要なオンプレミスタイプに比べ、ASPタイプは基本的に契約をすれば導入までの時間はほとんどかかりません。
クラウド上にシステムデータが存在しているため、提供会社の処理によってはすぐに利用可能です。
また、多くの塾で利用できるように設計、製作されているため、複雑な操作は必要ありません。
マニュアルを読みながら、実際にロールプレイングするだけで使えるようになる方が多いでしょう。
また、オンプレミスタイプはサーバー機器などの資産管理が必要なのに対し、ASPタイプはクラウドを利用しているだけなので、資産管理の必要がなく、利用料も経費で処理可能です。
大規模な施工も必要ないため、ASPタイプは安くて導入しやすく、使いやすいため、塾以外の多くの企業でも導入が進んでいます。
常に最新のシステムが利用可能
ASPタイプでは、サービス提供業者がシステムのメンテナンス、改善を行っています。
これにはセキュリティー面でのサポートも入っているため、安心して利用可能です。
大幅な改善が行われるケースはほとんどありません。
小規模な修繕や使いやすさを追求したメンテナンスである場合が多いです。
これらをオンプレミスタイプで行う場合、メンテナンスごとに費用が発生します。
また、外部業者に委託しない場合は自社対応となるため、人件費が余計に必要です。
自塾の業務や各種研修、サービス向上などを行いながら、常に最近のシステムが利用できるのは非常に大きなメリットと言えます。
利用に際し、使い方が分からなかったり障害が生じたりしたら、即座にサポートを受けられる点もASPタイプならではのメリットでしょう。
教材とセットのシステムでは家庭からの月額徴収費用でシステム導入が可能
ASPタイプのシステムの中には、業務改善だけでなく授業にまつわるシステムを提供しているケースがあります。
例えば、コロナ禍において非常にニーズが高まったオンライン授業。
オンライン授業が受けられるサービスを取り入れているシステムもあります。
この場合、指導内容のシステム変更が必須です。
しかし、コロナの影響もあり、オンライン授業が重宝される時代になったこともあり、これらの授業システム変更は保護者の理解が得られやすい時代背景と言えます。
また、授業システム変更に伴い、月謝の変更もしやすいです。
システムに必要な費用を月額徴収費用として家庭から集めれば、システム導入にコストを削減できます。
初期投資でマイナスになったとしても、月額徴収は通年で行えるため、長い目で見ると企業の収益増加に繋がると言えるでしょう。
ASPタイプのデメリット
コストパフォーマンスに優れ、メンテナンスや改善も自社で行わなくていいASPタイプのシステム。
しかし、抑えておかなければならないデメリットもあります。
ASPのデメリットは、
- 月額料金がかかる
- カスタマイズが難しい
の2つです。
使いやすく導入しやすいASPタイプのシステムですが、この2点については十分留意しておきましょう。
月額料金が発生する
ASPタイプのシステムには月額料金が必要です。
ランニングコストがかかるため、各家庭から徴収するなどの工夫が必要になります。
月額料金はサービス提供業者、システムによって異なりますが、システム代+ID制の場合が多いです。
ID使用料に関しては、1IDあたりいくらとされているものや、10ID、20ID単位での契約のところもあります。
生徒数が増えるほど、月額使用料は増加しますが、月謝の内訳に入れてしまえば、塾側の負担を抑えることも可能です。
また、初期費用も必要となるため注意しましょう。
初期費用はオンプレミスタイプほどではありませんが、10万円前後は見ておく必要があります。
ただし、オンプレミスタイプのように初期導入費用、各種メンテナンス代、障害対応などの費用は安価で済むので、トータルとしては安価で運用可能です。
カスタマイズが難しい
ASPタイプはサービス提供業者が企画立案、製作まで行うため、自塾のシステムに応じたカスタマイズはできません。
どちらかといえば、導入したシステムに自塾の業務をどのように当てていくかを考える必要があります。
これまでのやり方と異なる場合、導入により業務が滞る恐れがあるため、注意が必要です。
また、業者が独自に製作しているため、自塾の求める形でないケースもあります。
このような事態を防ぐためにも、必ず提供されているサービスを事前に確認し、他業者との比較も行うなどの精査をするようにしましょう。
自塾のやり方をとことん追求したい場合は、オンプレミスタイプの方が柔軟性はあります。
しかし、新しいやり方の方が慣れてしまえば早い場合もあるため、価格だけでなく社内環境を十分に考慮したうえで導入するシステムを決定するようにしましょう。
まとめ・ASPタイプはメリットの方が大きい
使用するシステムによって業務効率は段違いに変わります。
「システム」と一言で言っても、業者によって提供するサービスは違うものなのです。
そのため、価格だけでなく、自塾にフィットしているか、導入後の業務状況はどうなるかなど、未来を見据えた上で導入を決定しなければなりません。
システムのタイプはクラウドにサーバーを置くASPタイプ一択です。
特に学習塾専門のシステムも提供されているため、複数社の比較を行い、精査するようにしましょう。
長いアナログ時代もいよいよ終焉を迎えました。
これからはITを利用し、効率的に業務を進める時代です。
もちろん、塾ならではの「人」を大切にした業務形態も時には必要になります。
しかし、バランスを取らなければ時代位取り残されてしまうでしょう。
競争が激化する現代の塾業界を生き抜くためにも、いち早く塾の業務にITの力を取り入れて、よりよい労働環境を作っていってください。